ずっと見たかった「愛が何だ」です。
何がどうとは簡単には説明出来ないけど、どうしようもなく面白い。
4月公開でしたが近所ではかからずタイミング逃しそう…と思ったのですが。6月になっても少々足を伸ばせばまだやっていた!ので観てきました。
ファーストデーだったせいもあるけど立ち見が出ている大盛況。朝の時点で二回目まで満席。三回目の予約も空いてるのが一桁という状況でした。
解説・あらすじ
『八日目の蝉』『紙の月』などの原作で知られる直木賞作家・角田光代の恋愛小説を映画化。
28歳の会社員・テルコ(岸井ゆきの)は、マモル(成田凌)のことが好きになって以来、仕事や友人がどうでもよくなるほどマモル一筋の生活を送っていた。一方、マモルにとってテルコは、ただの都合のいい女でしかない。ある日、二人は急接近しテルコは有頂天になるが、突然マモルからの連絡が途絶えてしまう。
※yahoo映画より
感想。
衣装のこと
いきなり気になっちゃったのが服のこと。このテルコ。服装が絶妙~なんですよね。マモちゃんを演じる成田凌って格好いいと思っていたけど、髪型もモサッとちょっとダサく見えるようにスタイリングされてるわけで。その辺も含めて妙にリアルです。
リアルな恋愛模様
冒頭からとにかく痛い女炸裂なテルコ。マモちゃんに「今会社なら帰りがけに何か買ってきて」と電話で頼まれ、帰宅しているにも関わらず「今会社でるとこ、オッケー」と家を再度出るという…言いなり。
マモル…ヒドイ奴だわ~と思いながら見始めたものの。
盲目的な女子が突っ走っていく様が滑稽なのかと思いきや、だんだん出てくる人たちの誰もが空回りしたり、頑張る方向がちょっとずつズレてきたりで「アレ?」となってくる。
過去の自分も周囲に「ヤメナサイ」と言われても突っ走った頃もあっただけに(わかるわぁ~)とも(痛いわ…)とも。相手の為のようで自分の尽くしてる感に酔ってる姿は身につまされます…。
親友の葉子に「そんな男はやめとけ」と諭されるけど。当の葉子もカメラマンのナカハラという男に好かれているのをいいことに軽くあしらっているような関係。
マモちゃんと仲良くなったと思ったら突き放されたり、久々に会おうと言われてみればスミレさんという他の女が一緒だったり。いつまでたってもきちんと彼氏彼女になれない2人。似たもの同士だから好きあえないというか、イヤな場所が見えすぎちゃうのか。
で、突如出てきたスミレさんが最高で。ストーリーがさらに動き始める。がさつだし、タバコはスパスパ吸うし、モテとは対極のファッションだけど、マモルに「なんなら肌荒れすら可愛い」と言わしめる。
…スミレさんが出て来てからのマモルがテルコみたいに見えてくるワケで。エラそうなマモル、どこ行った?みたいな。
いかにもな起承転結はないけれど、そのリアルさについ見入っちゃう。ただただ恋愛模様の日常を見せられてるだけなのに。
だからこそ時々挟まれる唐突とも思えるシーン…特に子供時代のテルコと向き合う所ではハッとさせられました。子どもの頃の素直さを目の当たりにして。
「葉子ちゃんも傷付くことあるの?」
という問いには私も葉子ちゃんと同じことを思いながら目の奥がグッときてしまいました。
葉子とナカハラのラストには少し光が刺すような気がします。ナカハラの好きとテルコの好きは違う方向に進んだと思う。ちゃんと前向きに行動してる。
テルコも行動してはいるけど…象のアップが出て来たときには(だろうな)とは思ったけれど。「私はなんでまだマモちゃんじゃないんだろう」。
なんにせよ、自分の気持ちにケリを付けられるのって自分しかいないんだよね。私にはテルコはまだ目が覚めていないように思えました。こんな風に周りが見えなくなる時期あるよね。映画の中のことなのにテルコに幸せになってほしいとつい願ってしまうのです。
食べるし、飲む。
冒頭からよく飲むテルコ。すぐ発泡酒の缶をあけること!そしてよく食べる。食べたら切り替わるテルコ。おめでたい…病みきってはいない。あと、スミレさんが気まずさを解消するために突然作り出したパスタ。「キライにはなれなかった」とテルコも言っていたけれど。食べながらスミレさんとの距離が縮まったような気がします。
隣の女の子は泣いてました。私はこの映画のような恋愛沙汰とは縁遠いから傍観してられて楽しめるのか?20歳くらいで見たら泣いてたかもしれませんね。
役者さんはみんなドンピシャな配役。細かく書けばキリがないので、面白い感想を共有させてくださいませ。
●私の愛用している靴屋の店主さん(であり、映画大好きな人)の感想による、
「ある程度大人でこれの面白さが解らない人いるかしら?って言うのは極論ですが」
に心から納得。
赤い靴 / 店主のシネマナイト『愛がなんだ』『チア男子』 : girlieloungeクラ店主のcorners kitten
●あまりにもリアルで摩訶不思議なもの、ホントにそう。
●劇場の雰囲気とか、あー同じだったなぁと。
角田光代原作本の感想。
ということで、恋愛真っ只中の人も、過去はそうだったなーな人もたまらない一作です。