こんばんは、あーるです。最近読破した漫画の感想を。随分前に一巻だけ買ってこれは…と思いつづけていたものの、紙で読みたくて。9月のスーパーセールでスイッチ入ってしまい全巻買ったのでした。
タイトルに殆ど込めちゃいましたね。
ざっくりこんな話
45才バツイチ・たかこが、偶然ラジオで知った知る人ぞ知る…なバンドのめり込んでいく様。同じバンドのファンの男子オーミくんとの出会い。たかこの娘、一花の登校拒否と拒食症。その辺りの問題も含め話し合うべく、頻繁に会う別れた旦那。折り合いの悪い同居の母。そして、近所にオープンした居酒屋の店主(イケメンで人たらしなオジサン)や常連さんとの交流。
そんなたかこの日常が描かれていく物語です。
劇中のバンドのモデルはクリープハイプ。対談収録の巻もあり。
感想
今の自分はたかこと同じような境遇ではないけど(年齢は近いな)、共感する部分が本当に多い。基本ネガティブで必要以上に心配しがち。社会で上手く立ち回れる程度には振る舞えるけど、心の中では何か足りない…のか、全部足りてるのに…なのか、不安になったりする。訳もなく泣きたくなったり(していたこともあった)。
そんな、たかこは信用出来る。漫画の主人公に言うのも変かもしれないけど信用できる。こうだったかもしれない自分を見ているような。
思春期の悩める子どもの姿を目の当たりにして、昔の自分を重ね合わせて苦しくなる。まだそこまで至らなくとも…子どものイラッとする言葉や態度は、全部自分から出てきたにものだと気付いたときの不甲斐なさに、似ているような気がします。
まぁ、私はバンドにのめり込んだ時期がたかこより早かっただけだなーと。20代の頃は特に音楽とバンドを追っかける事に救われた自分だけに…ラジオをチェックして、新譜を予約して、歌詞を読み込んで、ライブに行って、のハマっていく様はよくわかる。一巻でたかこがCD屋に行くシーン、本人の書いたコメントカードを見つけて喜ぶ様なんて、元CD屋としては感動的ですらあります(今はそんなにアナログに音楽と出会わないのだろうけど…)。
好きなアーティストにハマって自分だけの世界に浸りながらも、誰かと話して分かち合いたくてたまらない。その気持ちも心から分かる。
しかし、そこまで主人公に感情移入していたからこそ…とある行動に出た時はショックでした。呆然。いや、ないないない…痛すぎる。たかこは自分でも痛いと言いながらも、貫き通す。そりゃ、キレイごとでは終わりませんって。自分も傷つきまくるし情けないし。自己満足の極みと言ったらそうだし。
その後も描かれていて、今度は…という予感を残して物語は終わります。
そうそう、この話には橋と河原の風景がよく出てきます。似たような好きな場所があるのも、たかこを信用出来た理由かもしれません。舞台となっている場所に通っていた時期があったりもしたし、余計に。
感想をサラッとあたってみたところ(最終巻は特に)賛否両論ですが。
漫画だから、「これでいーのだ」。
自分の事を一通り悩み尽くして、いい歳して簡単には変われないと薄っすら気付いていたとしても、それでもたかこは自分を変えたかった。変わるためにはああするしかなかった。青春のやり直し、と簡単には言えない、全然甘酸っぱくない人生譚なのでした。作者あとがきにもあるのですが、読みおえるとたそがれという言葉が、終わりにさしかかっているというイメージから、まだまだ先がある、そんな風に感じられることに希望を感じます。
と、色々調べてたら旦那さん(漫画家の新井英樹。凄い夫婦だ…『宮本から君へ』も気になるし)との原画展今やってるのねー!
絵は好みが分かれそうですが、あのフワっとしたタッチや吹き出し外の細かな書き込みが面白さやリアルさを増してくれる気がします。
うーん、行けるか?この行事満載の月に。ぼやり頭の片隅に置いとこう。
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