いつも読んでいる映画ブログで何人かの方がレビューしていたり、野球好き界隈で話題になっていたので気になっていた一作。
あ、野球好きじゃなくても楽しめます!
むしろ好きじゃない方が共感できる部分もあるかもしれません。私は野球も好きなので、否応なしにお気に入りとなりました。
75分とコンパクトなので、時間があえばサクッと観に行って清々しい気分になれます。
~舞台は甲子園の一回戦。強豪校と対戦することになった野球部を応援する生徒たち…の中で、イマイチ乗り切れずに端の方で見ている"反乱分子"な4人。
演劇部の女子部長と、その親友。野球部を辞めた男子。取り柄がないと思い込み勉強だけにひたすら取り組む女子。
懸命に野球部を応援している面々の斜め後ろに陣取って、熱血な先生に促されながら渋々試合を見続けるうちに彼らの気持ちは少しずつ動いていく…~
と、書いてしまえばこれだけで、シーンもほぼ観客席のみ。
はしっこの4人に相対するのは、試合に出ている選ばれし選手たちや、華やかな応援で盛り上げる吹奏楽部の面々。しかも、トランペットの部長はエースと付き合っている上にテストも一位でめちゃくちゃ可愛い"真ん中の人"。
演劇部女子2人のどうにもちぐはぐな会話は野球のルールを知らないから、だけではなくて。途中明かされる理由で納得、そして一気に演劇部部長に感情移入してしまいました。
会話劇で派手な動きはありません。が、話していくうちに段々互いの微妙な距離感(ベンチに座る位置までも)やすれ違う思いが明らかに。試合の展開と相まって見ている方も次第にハラハラさせられます。
それぞれに、やり遂げられなかったことがあり「しょうがない」と諦めにも似た気持ちを抱えている。 はしの方にいるヤツラだけじゃなく真ん中な人にも実はあるのがほろ苦い。
それでもみんな、頑張ってんだよな。と、月並みな言葉になりますけど、シンプルに自分も励まされます。
試合の見せ方(見せなさ?)は舞台が原作ならでは。打球音、スタンドの雰囲気、登場曲、そして応援している面々の表情で伝わってきます。
最初は渋々来た応援席で次第に熱くなっていく姿。あの子が大きな声を出して応援する瞬間のアップは映画ならでは、かな。
今年は特に、努力し続けてきたことを発揮する場が無かった人は多くいる筈で。高校野球は勿論のこと、発表会だったり何かの試験だったり大きな事も小さな事も無数に溢れている。だからこそ、よりこの物語のエピローグが響くように感じました。上手く行き過ぎー!とつい穿った見方をついしてしまうのは封印して、清々しさの勝ちです。
内容とリンクしたエンディングまで見届けて爽やかな気分で映画館を出てくることが出来ました。
自分の高校には軟式野球部しかなかった上、当時は野球に興味もなかったので…まあーとにかく眩しいし羨ましい、という単純な思いもありますね笑。