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映画「万引き家族」感想。「家族」の成り立ち。

こんにちは、あーるです。

先日見た映画「万引き家族」の感想です。考えさせられすぎて長くなってます。ネタバレは後半にあるので見ようかな?という方はご注意ください。
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タイトルに「うーん…」となっている方も何で敢えてこんなタイトルなのか?と思ったら確かめて欲しいです。「声に出して呼んで」という案もあったとのこと、鑑賞後なら(確かに…)と思います。ただ、見る前の立場だったら「万引き家族」の方が良くも悪くもインパクトはあったなと。鑑賞後は正直どんよりはしますので見るタイミングは気分と要相談です。

 

あらすじ

治(リリー・フランキー)と息子の祥太(城桧吏)は万引きを終えた帰り道で、寒さに震えるじゅり(佐々木みゆ)を見掛け家に連れて帰る。見ず知らずの子供と帰ってきた夫に困惑する信代(安藤サクラ)は、傷だらけの彼女を見て世話をすることにする。信代の妹の亜紀(松岡茉優)を含めた一家は、初枝(樹木希林)の年金を頼りに生活していたが……。

 yahoo映画より。

 

感想

 

ストーリーについて

「犯罪でしか繋がれなかった」というコピーが掲げてあります。その前提があるから、この家族を肯定は出来ないのは当然なはず…だけど、だけど。という思いが湧いてきます。

寒さに震えてベランダに放置されていたじゅりという少女。見かねて、家に連れて帰ってしまうシーンはどうしたって最近の痛ましい事件が頭を過ります。どこかにまだきっといる、こんな子…というリアリティ。

 

これは誘拐なのか。でも、虐待されている子を守っただけ。守った側だって罪を犯してる。なのに、この温かいものが流れている「家族」は何なんだろう?

「血がつながっていから期待しない、だから上手くいく」というような台詞がありました。

自分が産んだからって子どもを好きにして良いわけじゃ、ない。子どもは親を選べない。産んだらそこに血縁という絆は出来る。けれど選んだ絆で結ばれている家族もある…何が一番幸せなのかなんて、簡単には決められないし決まらない。

 

はっきり言って学の無さそうな治たちではあったけれど、自分の知っている中での精一杯を子どもたちに伝えようとただしていただけで。それはちゃんと伝わっていた。

どんなに可愛い服を買ってあげるって言ったって。形だけじゃなくて、気持ちは伝わっているのか。そんなことを強く考えさせられました。

 

役者について

とにかく、安藤サクラの今思い出しても涙が出そうな表情は圧巻です。

あと池松壮亮の出どころ。少ないんだけど凄く印象的なシーン、無機質な音楽が流れる中でただただ心を通わせる瞬間に涙しました。

全員凄いのですが特に、な部分を挙げてみました。

 

ここからネタバレ。

 

何を万引きしたのかって。「捨てたひとがいて」「誰のものでもない」家族を万引き、したんだと。段々どうやってこの一家が集まってきたのかが明かされていくにつれて怒りが湧いてくる筈なんですけど。なんで、こんな優しい人たちなのにもっと良い方向に行けなかったのだろうか。悔しさやもどかしさのようなものが胸を突いてきます。治がマンションであろう工事現場のシーンで「しょうた、ただいま」と言っていたのはもしかしたらあったかもしれない別の未来なのかな、と切なくなりました。

 

情報の行き届かない人、虐待されている人、年金の不正受給、パチンコ屋の駐車場置き去り、JKビジネス、そして人を殺めてる。これでもかという問題が絡んでいた「一家」。しょうたの決心で家族は崩壊するけど、いつかはそうならなければならなかった、薄々みんなそう思っていたに違いない。

 

ケガをした脚を見て(“お父さん”と同じだ)と、しょうたは思ったかもしれない。最後、バスの中で〇〇とつぶやいたらしいのですが分らりませんでした…(字幕だと出るらしい・旦那談ですが調べてもはっきりとは出てこない)。

 

一応のクライマックスというか、端から飛び降りてからの怒涛の展開…といってもその後は取り調べシーンが続き。動と静の落差も凄い。流れとしては淡々とこの家族の日常を描くだけなのに…見れちゃうんだよなぁ。海街でも思いましたが分かり易い起承転結ではなくても引き込まれてしまいます。

あと、家の中の作り込みが凄かったですね。

 

様々なメディアで言及されている安藤サクラの泣きのシーンってのは…もう。

 「あの子たちはあなたを何て呼んでいましたか?」

 

 

 

…自分には血の繋がった子どもたちがいるからフラットには見ることが出来ていないかもしれない。

血が全てじゃないし安心しちゃダメだ。という思いもある。自分が産んだ子なんだからきっと大丈夫、という根拠のない自信を求めることもある。

今は幼稚園やマンションや同級生や。正直似通った境遇のコミュニティの中にしかいないけれど。この先じゅりみたいな子に出会うこともあると思う。そこに自分は否定しないで優しく居られるか。居られる心の余裕を持って毎日を過ごしていけるか。そんな事がぐるぐるいつまでも頭を巡って離れないです。

 

しょうたはどうしているだろうか。賢そうな彼だからきっと、うまくやっていける。

じゅりは最後ベランダを乗り越えるかな、と思いましたがそのまま終わります。いきなりそんな強くはなれないかもしれないけれど…幸せな未来が待っていることを祈ってやみません。

 

長くなったし回りくどくなったけれど、感想終わります。

 

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