言った瞬間寒気がして泣きそうになった。こりゃ、言っちゃいけない言葉だと。
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常々子どもがシニソウとかシネッとか、カロウシする~とか言うのが気になっていた。嫌だった。
軽々しくシネとか言うもんじゃないよ、と伝えるとそんなの4年の男子の間では普通だよと。仲良い間柄ではそうかもしれないけれどもし言葉通りに受け取る人がいたら大変だよと。そういう仲良くない奴には言わないから大丈夫。堂々めぐりなわけで。
耳から常々そういう言葉が入って慣れてしまうのは良くない。ママは好きじゃない。何度も言ってきた。
その朝は特別忙しかったわけでもない。コンタクト入れるのに30分は見ときなよ。と、野球に行く前に洗面所へ準備するよう促した。片目は割とスンナリ入ったが次が上手く入らない。ギャーギャー言いながら格闘する息子。
「自動的にコンタクトが入る機械ってないのかなーー」
「こんな繊細な作業は手でしか出来ないよ、落ち着いてやってごらん。瞼をぐっと押し上げて」
「やってるよ!」
「怒ったからって上手く入るわけじゃないからね プレー中に心を落ち着かせるトレーニングだと思ってさ」
同じようなやり取りを繰り返し切々と言い聞かせていたけれど。
「こんなんやってたら過労死するよ」
キレた。
「じゃあシネッ!そんなんで過労死するわけないでしょ!」
……久々、反射的に出てしまった。
「それはNGワードだ!」
ご立派に反論が来た。しかもごもっとも。確かにNGワード。
自分がフザケて言うのはいいが、母にヒステリックなトーンで言われるのは堪えたようだ。そりゃ、泣いてた。私も泣きたくなった。口にして人に向けたパワーにオエッとなった。
当たり前だが人に面と向かって発したことは無かったから。面と向かわずに呟いたことは…ある。
スンスンしゃくりながら、一発でコンタクトが目に収まった。目が潤んでたからというのもあるかもしれない。
これが正しかったのかは判らないが、すぐにシネッテ言うのは勿論嘘だよと否定した。でも、言われたら嫌だって解ったでしょ、と。
しかも、ダラダラやんないでびっくりして集中してやったらコンタクトもすぐ入ったでしょ。ブツブツ文句言わないで集中するのが大事なんだよ。と、なんとなく上手く丸めた。
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夫は途中で口は挟まない。
たまにはビシッと言っていいんだよ。甘えてんだよ。と言い残して車を取りに行った。
息子は玄関を出る直前までグズグズしていたけど、車に乗ってからは全然だったらしい。夫の前では泣き顔を見せないってか。
それから、シネとかシニソーとか、言わなくなった。全くじゃない。言いかけて「あっ」て顔をしたり。私に怒られるからじゃなくて、そういう言葉は使いたくない、使っちゃいけないと思っていてほしい。
私はもう口にしたくないし、出来ないし、口にしちゃいけないな。
実感できたことが収穫。
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というのが、3週間前くらいの話で下書きに溜めてた。今も息子は、あからさまには言わない。喉元すぎれば、にならなきゃいいけど。
こんなこと、昔も感じたと思ったらやっぱりあった。成長してんのか不安になる、私が。